「ちゃんとわからないといけない」と言う思い込みを捨てる
美術館に行った事ありますか?
もしあなたが美術館に行った事がないならば、本書を読む前に是非一度美術館へ行ってみてください。
お近くに美術館がないならばGoogleの「arts & culture」というアプリで絵画などを見てみてください。
見てみましたか?
どう思ったでしょうか?
絵画なんて言うと、なんかちゃんと見ないといけないと肩に力が入ってしまわないでしょうか。
私は、「世界中で認められている絵画なんだからそこから何かを感じ取れないのはきっと自分の知識や経験が足りないだけだ。」
と思い込んで、有名な絵画から何も感じない自分はダメなんだと自己嫌悪してました。
しかし、絵画の事を知れば知るほど、「絵の価値」と値段や評価は特に一致しない事が良くわかります。
絵は単なる絵であり、笑った女の子の絵は笑った女の子が描いてある絵である。
その事実を認識する事で本書が伝えている事がすっと胸に響くのではないかと思います。
アート作品を見るためのステップ
「アート作品から学ぶ」ためには、以下のステップを踏むと良いそうです。
- 「事実」と「解釈」を分けて作品を見る
- 言葉で描写してみる
- 3つの質問と4つのプロセスで鑑賞を深める
「事実」と「解釈」を分けて作品を見る
本書の中で一番基礎的な事でありながら、一番大事な部分でもあるのが、アート作品を見る時には「事実」と「解釈」を分けて見ると言う事です。
「怖い顔をした男の人の絵」
というのは事実でしょうか?解釈でしょうか?
これは、解釈です。
事実は、
眉間の間にシワが寄っている
首が太い
口角が下がっている
などです。
アート作品を見た時には、その作品から何を感じるかよりも前に、まずその作品の事実を上げていく必要があります。
有名なモナリザと言う絵でも見た後に後ろに何が描いてあったのか正確に言える人はほとんどいないとの事。そのくらい我々はパッと見た時の「解釈」だけで判断してしまうらしいです。
言葉で描写してみる
事実を認識出来たら目隠しをした誰かに絵を説明するつもりでその絵がどんな絵なのかを言葉で描写してみます。
椅子が一脚ドアの前に置いてある。
椅子は右下を向いている。
木の椅子で座る部分は藁のような素材で出来ている。
微妙に歪んだ絵です。
など。
言葉で伝えようとすると、その絵から暗いイメージを受けるなどの解釈は一番最後にして、まずは事実をひとつひとつ伝えないと相手は正確にその絵をイメージ出来ない事がわかります。
3つの質問と4つのプロセスで鑑賞を深める
鑑賞を深めるために、3つの質問をするそうです。
- (質問1) この作品の中で、とんな出来事が起きているでしようか?
- (質問2) 作品のどこからそう思いましたか?
- (質問3) もっと発見はありますか?
さらに鑑賞を深めるためにグループで鑑賞し、以下の4つプロセスを行うと良いそうです。
- 見る
- 考える
- 話す
- 聴く
誰がどんな時代にどんな境遇でどんな思いを持って描いた絵なのかは、本当はどうでも良い
ここまで本書のアウトラインをお伝えしましたが、その絵の背景を理解しましょうと言うような内容は一切ない事に気づきましたでしょうか?
私は絵画なんて言うと、印象派が、とかモネは何世紀の人で、とかを知らないと絵の本質がわからないと勝手に思ってしまっていました。
しかし、絵は単なる絵であり、その絵から何を得られるのかは全て見ている鑑賞者に委ねられている。
もちろん、様々な知識を得て絵画と向き合うのも楽しいでしょうし、そうでなくて、好き嫌いだけで判断して行っても別にそれはそれで楽しい。
はたまた本書の指南のように事実を積み重ねてじっくり絵と向き合うのも贅沢な時間だと思います。
いずれにせよ、あまり考えすぎず美術館を見かけたら入ってみるくらいの気軽な気持ちで絵画鑑賞をしてみてはいかがでしょうか。
企画展は1,000円以上するような高い事が多いですが、常設展は500円くらいで見れる美術館も多いですので、常設展をおすすめします。