良いドラマだとは聞いていたけど
2018年のドラマなのでもう5年前のドラマ。
良いドラマだとはいろんなところで聞いていたのだけど、第一話の話しの重さに腰が引けて第二話までを3回くらい見ては挫折してを繰り返してました。
これはもうある意味見ないで流しておいて気に入ったら後からまた見返せばいいかと割り切り、とりあえず6話まで流し続けたら不思議な事にすっかり沼にハマってました。
とにかく見る人の忍耐を必要とするドラマ
このドラマは、ざっくり言うとある会社に勤めるおじさんと、その会社に派遣社員として入った若い女の子の話しです。
若い女の子は、親の残した借金を返すため何でもやる暗い子で、おじさんは人と関わる事を避けているお人好し。
会社の社長がおじさんの後輩で、おじさんの奥さんと浮気している事と、2人が共謀しておじさんを会社から追い出そうとしている事を知った若い女の子は、社長を脅し、お金を貰う変わりにおじさんを追い出す手伝いをします。
おじさんは賄賂を受け取った疑いをかけられて窮地に陥るのですが、女の子が賄賂を自分のものにしようとしてたまたまおじさんを救う事になってしまうと言うところからドラマは始まります。
とにかく暗く、人と人の醜い争いが続くので心が暗い時にはなんだか余計に落ち込んでしまい全然楽しめません。
しかもずっと楽しい気持ちになる事もなく嫌な話しが続くためかなり見る人に忍耐を強いるドラマです。
イヤホンから聴こえる優しさ
このドラマが、「あれ?なんかちょっと待って、すっかりIUさんから目が離せなくなってますけど?」と気付かされるのは、4話目を過ぎたくらいからかと思います。
4話でおじさんが自分の兄弟が親のいる前で土下座させられた事を怒って男の事務所に乗り込みます。
普段温和なおじさんが兄弟のために怒る声を盗聴した携帯アプリを通してイヤホンから聞いているIUさん。
自分が昔借金とりにおばあちゃんを殴られ守るために借金とりを殺してしまった事を思いだします。
「家族の前で辱められたら殺されても文句は言えない」と言って男と戦うおじさんを盗聴しながら、次第におじさん自体にもおじさんが大事にしている家族や友達との関係にも安らぎを覚えはじめます。
盗聴を目的としていたイヤホンからの音が次第にIUさんの生きる意味になっていく。
世界に絶望した少女が、世界を隔てているイヤホンからはじめて生きたいと思う世界を覗き見る。
氷が溶けるように
このドラマの凄いところは、単に恋愛感情だけの好き嫌いだけではなく、少女がおじさんを好きになっていく事で、おじさんが持っている優しい世界の人々や、おじさん自体の苦しみも含めて、ゆっくりと少女が世界に溶けていく姿を16話と言う長いスパンを使って描ききっている事だと思います。
そして、良くも悪くも、安直なハッピーエンドや恋愛沙汰に帰着させず、ひたすらアンダーな世界観の中の一縷の希望を描き続けた。
その難しい物語を演じきったUIさんも凄いし、この流れで16話をやり切ると決めた監督も凄い。
ゆっくりゆっくりと氷が溶けるような物語。
とにかく6話くらいまで内容見なくてもいいから流し続けてみてください。
最後にはすっかり沼にハマっていると思います。