高度経済成長の3点セット
大人になってから、いろんな人の話を聞いたり、本を読んだりすると時々、「嘘でしょ!」と叫びたくなる瞬間があります。
そんなに大切な話、なんで今まで誰も教えてくれなかったの!と。
本書の以下の一節もまさに初めて読んだときには同じように衝撃的だった文章です。
結局、高度経済成長の正体とは「均一な教育」「住宅ローン」「マスメディアによる消費者購買行動」の3点セットだと僕は考えています。つまり国民に均一な教育を与えた上で、住宅ローンにより家計のお金の自由を奪い、マスメディアによる世論調査を行い、新しい需要を喚起していくと言う戦略です。
2021年の現時点ではこの本だけでなくいろんなところで話されていることだし、同じような話はいろんな人も言っているけど、それは私がこの一節を読んで知っていることだから、あっあの話ね、と思っているだけで、あなたの目の前にはこの話はあまり心に刺さらない話として、さっと通り過ぎて行ってしまっているかもしれません。
本書が出版されたのが2018年なので、コロナ前でまだ世の中的にもこの話がそんなに出ていなかった(あるいは出ていたけど誰も気に留めていなかった)けれど、2021年現在では、まさにこの三つが崩れ、世の中は高度経済成長時代とはまるで違う世界になりましたね。
もう誰も良い大学に行けば良い仕事につけて、良い人生が送れるなんて恥ずかしくて思っていたとしても話せないし、大きな借金をして無理して都市部の家を買ったのを誇っているのなんて、50才を超えた地方出身の成金おじさんくらいだし、テレビも新聞も雑誌ももうマスメディアではなく、シニアメディアになってしまった。
「均一な教育」は誰のため?
子供の頃からずっと不思議でならなかった疑問のひとつが「なぜ行きたくもない学校にいって、知りたくもない教養を聞かなければいけないのだろう?」ということでした。
何度親に聞いても、キチンんとした答えは返ってこず、決まって、「大人になってから〜」とか「行きたくてもいけない国の子もいるのに〜」とか完全に論点の付け替えをされて、こんなに会話ができない大人しか育たない学校教育になんの意味があるの?と思っていました。
自分が大人になってみるとよくわかりますが、結局のところ、『そのほうが都合がいいから』なんですよね。
国家という機能を運営するに当たって、言葉も通じない、読み書きもできないでは、右向け右!といった時に、1億人近い人たちを一気に動かすことができないし、他国との経済競争の中で、それなりに勝ちながら、税金を徴収するためにはそれなりに稼ぐ力も持っていないと、国がどんどん貧乏になっていってしまう。
だから学校行くのやめましょう、とは全然思いませんが、だったらそう言ってもらって、国にとってもベストな形の教育のあり方を個々にカスタマイズしていけたらいいのにとは思います。
「住宅ローン」は本当によくできた制度
「マスメディアによる消費者購買行動」
これは、今の若い人たちには実感としてわからないかもしれませんが、我々アラフォー世代には、強烈に身につまされる現象で、メンズノンノやたまごっち、ルーズソックス、アムラーなど本当に綺麗に右に左にと踊らされ続け、自分たちが世界の最先端みたいな顔していた人たちが今のアラフォーです。
冗談ではなく、テレビや雑誌でこれが流行っています!と言われると、みんな一斉にそれに飛びつくというのが誰も疑いようもない時代がありました。ものを売ったり、流行りを作り出すのは本当にちょろい時代だったんだろうと思います。
マサキマツシマの白シャツに、リードビトウィーンザラインズの軍ものブーツとか。アホみたいに欲しかったなぁ。
流石に、最近の若い子たちはこんなアホなアラフォーとは違うと思っていましたが、先日はタピオカブームとかもありましたね。タピオカが良いとか悪いとかより、なんか自分たちの過去の恥を見せられているようで、「なんかすいません」と言う気持ちになったのは多分、私だけではないはず。
知らないでは済まされない時代
参考図書
今週の気になったニュース
「学生のときに、仕事で何をしたいか明確に持っている人はむしろ少数。コンサルタントなら、多くの企業の実態を知ることができる。そうした経験を通し、自分が本当にやりたいと思える仕事を探すという考え方も合理的だと思う」
なるほどなぁ。確かに、「就職したら長く勤める」 という大前提がなくなれば、1、2年でもとにかくその時に得られる情報やスキルが大きいところを選んでおいて、そのさきはまた別な道を選ぶ、というのは合理的だよな。