【書評】家畜化された動物は性差が少ない?〜「善と悪のパラドックス」より〜

2021年6月15日火曜日

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人間は「自己家畜化」された動物である。

以前紹介した、善と悪のパラドックスという本から。

なぜ人間は「きわめて邪悪であると同時に、きわめて善良でもある。」のかを研究する過程において、著者は人間は「自己家畜化」された動物である。
という見解を示しています。


「家畜化」なんて言葉を聞くと脊髄反射的に、「いや!そんなことない!誰だ!家畜なんて言ったのは!」
となりそうですが、人間の動物としての特性を分類していくと、野生動物よりは家畜に近い性質があることは明らかとのこと。

人間は反応的攻撃に移る閾値が高い

人間は反応的攻撃(カッとなって暴力をふるう「激情」タイプの攻撃)が低いという。


飼い慣らされたか、家畜化されたかという二分法で、ヒトがどちらに属すかは明白だ。

私たちは典型的な野生動物に比べて穏やかで、オオカミより犬に近い。
互いの目を見ることができ、すぐに激怒することもない。
そして通常、攻撃の衝動を制御している。
霊長類にとってもっとも攻撃性が発動されやすい刺激は、見知らぬ相手がいることだが、児童心理学者ジェローム・ケーガンは、数百人の二歳児が見ず知らずの子と会っても、相手に襲いかかることはなかったと報告している。

見知らぬ相手とも平和的に交流しようとするこの姿勢は、生まれつきのものだ。
家畜と同様、人間は反応的攻撃に移る閾値が高い。
その点で、野生動物よりはるかに家畜に似ている。



「家畜化された」動物の4つの特徴


「家畜化された」動物には4つの特徴がある。
1)小型になる。
2)顔が平面的になる。
3)オスとメスのちがいが野生動物に比べて小さい
4)脳が小さくなる



リーチは、現生人類にも見られる家畜化された動物の骨の特徴を四つあげた。

第一の特徴として、家畜は野生種より小型になる。

家畜化された種が定着したあと、人為的な選択によって意図的に荷馬車馬やグレートデンのような大型の種を作ることも可能だが、最初に小型化することは共通している。
犬や、群れを作る羊や牛などの動物では、その影響が顕著なので、考古学者はさまざまな種の家畜化の時期の特定の際に主要な判断基準にする。

(中略)

第二の特徴として、家畜は野生の祖先より顔が平面的になり、前方への突出が小さくなる傾向がある。

歯も小さくなるが、顎はさらに小さくなり、家畜化初期の犬の歯並びの悪さの原因となったようだ。
人間にも同様の傾向が見られる。

(中略)

第三の特徴として、家畜ではオスとメスのちがいが野生動物に比べて小さい。
理由はすべて同じで、オスが雄性を誇示しなくなるのだ。
牛や羊など家畜化された有蹄動物では、この変化は野生の祖先より角が小さくなる点に見られる。

人間では、男女の相対的な身長が変化したという証拠は最近までなかったが、人類学者のデイビッド・フレイヤーによると、過去三万五○○○年のあいだに、男性は体格だけでなく顔の大きさ、犬歯の長さ、臼歯や顎の大きさなどが女性に近づいている。

なお時代をさかのぼると、約二〇万年前、男性の顔はすでにかなり女性化していた。

生物学者のロバート・シエリらは、男性の目の上の眉弓が平たくなり、鼻の先端から上歯までの間隔が縮まったことを明らかにした。

最後の特徴として、家畜は哺乳類であれ鳥類であれ、野生の祖先より顕著に脳が小さくなる傾向がある。

体重に対する脳の容量の平均的な縮小率は約一〇~一五パーセントで、ある程度の脳の縮小は、実
験用マウスを除くすべての家畜化された動物に見られた。
人間の頭蓋骨の内側の大きさ(頭蓋容量)で示される脳の大きさは、過去二〇〇万年間、着実に増大してきたが、三万年ほどまえに驚くべき方向転換が生じ、脳が小さくなりはじめた。

ヨーロッパの現代人の脳は、二万年前の人々より一〇~三〇パーセント小さい。
特筆すべきは、脳が縮小した家畜の認知機能がかならずしも低下しないことだ。

 

 

人間もまだ進化の過程

ここ数年、どんどん男性が女性的な顔になっていっているような気がしますが、平和でオスとして野性味あふれる生活をする必要がなくなっていけばどんどん男性であるとか、女性であるとか、骨格としても必要がなくなるのかも。
 

人間はまだまだ進化の過程だとすると、これからもどんどん性別の差がなくなるのかもしれませんね。

 

参考図書



今週の気になったニュース


男性だからとか女性だからとかの議論は引き続き行われていますが、あと数年くらいするとそんな事もあったねとなるのでしょうか。
それとも、まだまだなくならないんでしょうか。


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