眠っている名作はたくさんある?
Netflixには、公開のタイミングが終わるとあまり話題に上がってこない名作ドラマや映画も多く存在します。
多くの人は公開と同じタイミングで見るわけではなくしばらくしてから見たりするので、本当に良いものは時間がたってもいろんな方法で教えてくれると嬉しい。
「シーシュポス: The Myth」も製作費が凄い事と、韓国ドラマでタイムトラベルものと言う事で公開初期には話題になったのですが、その後あまり過去の名作としては話題に上がる事が少ないドラマかと思います。
しかしながら特にタイムトラベルやアクションや漫画の20世紀少年とか好きな人は絶対好きなドラマじゃないかと思います。
あらすじ
IT企業の会長で天才的なエンジニアであるハン・テスルは搭乗した飛行機がトラブルで墜落の危機になると操縦席にいって飛行機を治して墜落を回避してしまう。
天才的な機械オタクであるテスルだが、兄を死を受け入れられず常に兄の幻覚を見ていた。
飛行機が墜落しそうになった原因を探るうちに飛行機にぶつかったのが鳥ではなく人間、それも自分の兄のように見えてしまいテスルは真相を探し始める。
すると、未来から自分を助けに来たという女カン・ソヘが現れて。
おすすめポイント
王道のタイムトラベルものなので比較的わかりやすい
本作は、ある意味王道のタイムトラベルもので、戦争で核が落ちた朝鮮半島の未来から、そうさせないための使者が過去である現代にやってくるというターミネータータイプの物語です。ですので、未来から来た人が自分自身の過去の姿と接触すると消えてしまうとか、過去を変えると未来の人間もいなくなるとか、タイムトラベルもののお約束はそのまま使われています。
今日は死なない
カン・ソヘ役のパクシネさんは、自分自身が未来の自分に残した手紙を読み、自身の遺骨に触れ、時間軸としては過去の事だけど、自分にとってはこれから起きるであろう未来の事を知ります。なので自分がいつ死ぬのかはわかっている状態で未来から過去にやってきます。
「今日は死なない」
と言うのがひとつの決めセリフのように使われます。
自分が死ぬ時を知っていると言うのは、ネガティブな部分ももちろんありますが、どんなに困難な状況でもこの状況は乗り越えられると言う希望としても本作の中では使われているのではないかと思います。
同じ過ちを繰り返す
一方で、タイトルでもある「シーシュポス」と言うのは神話で、人間は何度でも同じ過ちを繰り返す事の例えとして使われます。
ソヘやテスルがどんなに頑張って困難を乗り越えていっても、それは過去に既に起きた事であり過去の出来事を知っている人間からすると同じ結末に向かって進んでいるだけに見える。
悲しいけど同じ過去でなければ同じ未来もないわけで未来から過去に遡れるならばそれらも含めた未来でなければいけないわけで。
本作では、「未来は変えられる」と言う事を許容する形で悲観的になりすぎない物語にしています。
途中から20世紀少年っぽくなる
まんがの20世紀少年が好きな人なら、途中から「とーもだち、とーもだち」と言いたくなるシーンが散見されます。
小学校が出てきて、いじめられている子を助けていたりするのでたぶん知っていてやっているんじゃないかと思うのですが、どうなんでしょう。
イマイチ超名作!とならなかった理由
個人的には全然名作だと思うのですが、世の中的にそこまで盛り上がりを見せなかったのは、以下2点じゃないかと思います。
後半から時間を行ったり来たりし過ぎる
物語の後半からあまり説明なく未来の話しだったり過去の話しだったりが差し込まれるので、見ていてこれいつの話し?と言うのがパニックになりそうな事があります。
これ、12モンキーズのドラマ版でも度々あって視聴者が置いていかれそうになるのですが、たぶんタイムトラベルものがあまり得意ではない人にとっては苦痛に感じてしまうのではないかと。
個人的には、12モンキーズに比べれば全然優しい方だとは思いますが。
ラストの意味を二転三転させ過ぎる
これも好き好きで個人的には好きな終わり方なのですが、多くの人にとっては、これでパッピーと思ったら変なやつ出てきてイラっとした上になんかバッドエンドを強要された上に最後の最後にまた変なの出て来た!みたいな感じ方をするのではないかと思います。
あんまりスンナリ終わらせすぎても、16話分のいろんな謎解きとかふたりへの感情移入とかしてきた側からすると心に引っかからないドラマになってしまうので、あまりハッピーハッピーなところで終わらせるのも難しいのだとは思います。
しかしながら、最後はこのドラマ全体を通して何が伝えたかったのかの一番大事なところなので、あまりグリグリとこねくり回さず、大事な事をドンっと提示して最後影を残してでも良かったかなとは思います。
タイムトラベルとしてもアクションとしても意欲的な作品
いろいろと書いてしまいましたが、正直昔のハリウッド映画と比べても遜色ないくらい面白いタイムトラベルものでありアクションもののドラマではないかと思います。
これだけ長編に渡って重厚感のある話しを最後までやりきれるのは本当に凄い。
恋愛ものやヒューマンドラマも好きですが、韓国のドラマでこういったタイプのドラマもドンドン作られるようになるとさらに韓国ドラマが面白くなってしまいます。