【動画】「PSYCHO-PASS」から考える人間が神になる未来

2021年5月14日金曜日

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神様としてのシビュラシステム

2021年5月現在、「PSYCHO-PASS」はNetflixでシーズン1からシーズン3まで見ることが出来ます。


多少のネタバレを含んでしまいますので、まだ見てない方は先に本編をご覧になって頂ければと思います。

「PSYCHO-PASS」はいわゆる近未来SFもので、シビュラシステムと呼ばれるシステムが人の犯罪係数を判断し、犯罪を犯す可能性の高い容疑者をドミネーターと呼ばれる銃のような武器で逮捕もしくは消滅する事が出来ると言う世界の話しです。

シーズン1では、新人警官の常守朱(つねもりあかね)を中心に、シビュラシステムに判断される世界が本当に正しい世界なのか?と言う疑問を抱えながら展開していきます。

シビュラシステムとは、コンピュータが並列に処理した判断結果だけでなく、免罪体質者と呼ばれる、他者に余計な感情移入せず物事を判断できる(ゆえに元犯罪者も多い)人間の脳を200以上も繋ぎ合わせて処理している人とコンピューターの複合的なシステムになっています。

まさに、全てを管理し判断する未来の神様であるシビュラシステムは、実は一部の人間の脳の集合体であり、システムとデータと一部の人間が「神」となっている世界の話です。

参考

ホモ・デウス(「デウス」は「神」の意)


ハラリさんの「ホモ・デウス」を読んだことがある方ならシビュラシステムが「ホモ・デウス」で語られている未来、「人間がやがて神になる」というものに酷似していることに気づかれてたのではないでしょうか。

人類は、何千年にもわたって「飢餓・疫病・戦争」の3つを克服するために戦い、ありとあらゆる神や天使や聖人に祈り、無数の道具や組織や社会制度を考案してきた。それにも関わらず膨大な数の人が命を落とし続けた。
したがって、この世の終わりまで私達がそれらから解放されることはないだろうと結論した。

しかしこの数十年で、人類は 「飢餓・疫病・戦争」さえも対処可能な問題に変えた。
今度は、老化と死そのものさえ克服することに狙いを定め幸せを目標とし、人間を神にアップグレードするこを目指すだろう。
(一部概略)


科学が発明されるまでの人間は、「説明できないこと」を「神の仕業」とすることで折り合いをつけてきたが、人間には克服できないと思っていた 「飢餓・疫病・戦争」の3大難題が、なんとか対処可能な問題にまでなってきて、あれ?なんかもしかしてウチらもう人類を脅かすような大きな問題なくなってない?となったとき、「さて、これからどうしよう?」となるわけです。

本書によれば、「現代人にとって死は解決すべき技術的な問題である」という。そして21世紀において人類はその技術的な問題を解決することに努力するだろう、と。

人間は至福と不死を追い求めることで、実は自らを神にアップグレードしようとしている。
それは至福と不死が神の特性だからであるばかりではなく、人間は老化と悲惨な状態を克服するためには、まず自らの生科学的な基盤を神のように制御できるようになる必要があるからでもある。

もし私たちが自分の体から死と苦痛を首尾よく追い出す力を得ることがあったなら、その力を使えばおそらく私たちの体をほとんど意のままに作り替えたり、臓器や情動や知能を無数の形で操作したりできるだろう。

(中略)

今日では、生き物はアルゴリズムであり、アルゴリズムは数式で表せるというのが定説になっている。

(中略)

意識は現実のもので、重大な道徳的・政治的価値を持つかもしれないが生物学的な機能は何一つ果たさない。意識は特定の脳の作用の生物学的には無用な副産物だ。


人類が「不死」を目指せば、自ずと自らの身体を好きなように操作できるようにする。
また、人間を含めた生物の思考は「アルゴリズム」で表現可能であり、2016年時点ではまだ意識については単なるゴミなのではないか?くらいにしか研究が進んでいないが、それも時間とともに解明されていくだろう、とのこと。
つまり、人間の脳から身体すべてがコンピューターのように作り変え可能で、説明可能なものになる。(17世紀には蒸気機関に例えていたように現時点ではコンピューターに例えているが、おそらく将来的にはもっと適切な例えができるようになるだろう。)

こうなった場合には、現在の「」のような機構(多くの人が共同体として同じ方向を向いて生きていく単位という意味での)を担うのは、必ずしも「人間」である必要性を、あなたは感じるでしょうか?

今の私たちが、「国」に求めるのって、私たち個々はそれぞれ色々あるけど、できれば多くの人が幸せになれるような方向を示してほしいという事ではないでしょうか?
それができるのは、「一人の人間」ではなく、多くの人間のデータを持った「AIのようなコンピューターシステム」のほうがより適切に判断できる、としてもなんの不思議もない。

これって、シビュラシステムにとても似ている未来ではないでしょうか?

参考図書

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そのうちスマートグラスをつけることで脳波を計測できるし、脳波から脳波への情報の伝達も可能になるんでしょうね。そうなるといよいよ目や耳が不自由だとしても見ることも聞くこともできる世界が実現できるかもしれないですね。

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