WHO YOU ARE(あなたは何者なのか?)
あなた(わたし)は何者なのか?
仕事をしていると幾度となく問いかけられるこの問いに正しく答えられる人や組織はどれだけあるだろうか?
企業における「文化」は今もなをその企業をその企業たらしめる強力な武器となっている。
本書は、「HARD THINGS」の著者でもあるベンホロウィッツさんが書いた、「どうやったら企業やチームの文化を作ることができるのか?」を過去の事例(ルーベルチュールやチンギスハンなど)も交えて、考察した本です。
本書の中でも事例として出てくるAppleの話、特にスティーブ・ジョブズさんの話は、知っている話ではあるのにやっぱり心揺さぶられます。
うまくいっていることを続ける
言葉にするとものすごく単純だけど、「うまくいっていること」って、実は、後になればそりゃそうだよね、何だけどそのタイミングでは、それが「うまくいっていること」だとほとんど誰も気づけない。
1997年にスティーブジョブズがアップルに復帰した時アップルは傾いていた。潰れそうになっていたのだ。ジョブスがクビになった1985年23%だったマーケットシェアは3.3%にまで落ち込み現金は四半期分しか残っておらず破綻がすぐ目の前だった。1997年ワイヤード誌はこう書いた。「そろそろ認めたほうがいい君たちがハード戦争から脱落したことを」アップルの共同創業者スティーブウォズニアックですらそれに同意していた。「我々は世界一美しいオペレーティングシステムを開発した。でもユーザは倍もの値段のハードウェアを買わなくちゃこのOSを使えない。そんなのは間違っている。」スティーブ・ジョブズはそうした言葉に耳をかさなかった。実際、彼がCEOに復帰して最初に打った手のひとつは他社へのOSのライセンス供給を停止したことだった。
今となれば、当時スティーブ・ジョブズが何を考えていたのか我々にもわかる気がしますが、当時は正気の沙汰ではない。誰もがWindowsのように、OSを水平方向に広げていくことこそが、この世界で生き延びる唯一の方法だと考えるのが普通だったはず。実際、Appleが奇跡の復活を遂げずこのタイミングで潰れていたら、いまだに誰もが「ほらね、だから失敗すると思った」と言うに決まっている。
なぜだろう?ジョブズの視点は業界の常識とは正反対だった。復帰直後の全社ミーティングでジョブズはこう尋ねた。「この会社のどこがダメなのか誰か言ってみろ」そして自分で答えた。「プロダクトだ!」さらにこう続けた。「プロダクションのどこがダメなんだ」その問いにまた自分で答えた「プロダクトがクソなんだ!」ジョブズにとって問題はコンピューター業界の構造ではなかった。アップルが素晴らしい製品を作ればいいだけだ。そのためには企業文化を変えなければならない。Microsoftの真似をするのではなくアップルの強みを活かさなければ復活はできない。アップルの強みは昔からハードとソフトの融合だった。かつての全盛期には処理速度といった機能面で争うではなく人々のクリエイティビティーを刺激するMacintoshのようなプロダクトを作ることに力を入れていた。ハードとソフトの融合にかけてアップルは誰よりも優れていた。アップルの魔法の1つはユーザインターフェースからマシンの細かい色味までプロダクト体験の全てを操る力だった。1997年に打ち出した有名な広告キャンペーン「シンクディファレント」ではガンジー、ジョン レノン、アルベルトアインシュタインといった創造性溢れる天才を取り上げた。ジョブズはこう言っている。「アップルは自分が何者かを忘れてしまっていた。自分が何者かを思い出すには自分たちのヒーローが誰かを思い出せばいい。」
なんて、かっこいいんだろう。
こんなにかっこいいこと、一生のうちで一回でも言えるのだろうか。
参考図書
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キックボードも早く新しいモビリティとして定着してくれると嬉しいなぁ。